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左/十三浜地区、相川漁港

​下右/初夏のヨシ原

最下左/冬のヨシ刈り​

身をおけば風にそよぐ「サワサワ」「ザワザワ」と音で包み込むヨシ原。そこはまた様々な魚介類、野鳥、昆虫たちが生きる場になってきました。水中の過大な汚れを栄養分として取り込み成長するヨシは、天然のろ過装置でもあります。同じ浄化を工業的なプラントで行おうとすれば、数億円にも及ぶ巨額の投資と維持費がかかると言われます。

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刈り取った後には、焼き払う「火入れ」によって他の植物の侵入が抑え込まれ、毎年の芽吹きが揃い、良いヨシが育ちます。ヨシ原は純然たる野生ではなく、人の手によって保たれてきた、いわば里川的な「半自然」の景観。

生きる場所、石巻市北上町(いしのまきしきたかみちょう)

 宮城県の東端に位置する石巻市北上町。追波湾(おっぱわん)に、東北地方で最長の北上川が出会う河口の町です。海側の十三浜(じゅうさんはま)地区は、小さな漁港が連なる沿岸漁業の里。川に平地が沿う橋浦(はしうら)地区は、田んぼに畜舎も点在する農の里。
 2011年のある日まで、ここでは約1150世帯、4000人が暮らしていました。3月11日。沖合で発生したM9.1の地震と津波によって、浜の集落、北上川に沿った集落もほとんど壊滅に近い被害を受けたのです。9年経った2020年の人口は約950世帯、2300人。隣人は大きく減ってしまいましたが、この場所の豊かさを知り、ここで生きると決めた人たちの、かけがえのない郷里です。

ヨシ原〜国内有数の群生地と暮らし

 北上川の最下流部は、広大な河川敷の多くをヨシが占めています(震災前は200ヘクタールといわれました)。日本でも数少なくなったこの群生地は、暮らしと分かちがたく添っていました。先人は「結(ゆい)」というコミュニティを文字通り結び、冬から早春にかけてヨシを刈り取り、茅葺屋根をはじめとする暮らしの素材として使ってきたのです。
津波と地盤沈下によって、その豊かな景観も6割近くが失われました。しかし生きながらえたヨシ原もなお広大であり、今も刈り取られたヨシは全国の文化財建築の場で、茅屋根の修復や葺き替えに使われています。

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